【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。


「こちらのお写真は、ご鑑賞後にお渡ししますね」


そう案内されて入場を済ませ、まわりの喧騒から離れたところで、明希ちゃんを見上げる。


「明希ちゃん……」


そんな微かな声を拾ってくれたのか、明希ちゃんが足を止め、私を見下ろしてこそっと囁いた。


「よかった、君のこと見つけられて」


薄暗い中でもわかる明希ちゃんの微笑が、一番星のように瞬く。


まだ夢を見ているみたいだ。まさか今、隣に明希ちゃんがいるなんて。


「どうしてここに……?」


「ある人に頼まれたんだよ。
ヒロのこと、見ててあげてって」


「ある人って……」


「君のこと、すごく大事に思ってる人」


どういうことなのだろう。


穏やかに紡がれた明希ちゃんの言葉の真意が汲み取れず、その意味を頭の中で探ろうとしていると。


「今日は、俺が大くんの代わりするから」


「え?」


「目一杯楽しんじゃおう、ヒロ」


明希ちゃんが授業を抜け出したいたずらっ子みたいな、そんなトーンで言う。

それは、私を励ますような、そんな響きにも聞こえた。

< 111 / 428 >

この作品をシェア

pagetop