【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
「足、早く治るといいけど」
「大丈夫。回復力には自信がある」
「よく食べるんだもんね」
「寝るのも早いし」
はは、と肩を揺らしていた明希ちゃんが、ふと落ち着いた声で私の名を呼んだ。
「ヒロ」
「なに?」
「さっきのことだけど、忘れて?
俺、だいぶ疲れてたっぽい」
「……うん」
まるで明るい雰囲気に溶かして、さっきのことを無くしてしまおうとでもいうような流れだった。
なにか大切なことを見落としている気がする。
だけど、明希ちゃんが忘れてと言うなら頷くしかない。
明希ちゃんの背に体を預けていると、心地いい振動にだんだん睡魔が押し寄せてきた。
「明希ちゃん、少しだけ眠ってもいい?」
「ん、いーよ」
明希ちゃんの言葉を最後に、私はぷつんと糸が切れたように眠りにおちたのだった。