【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
『明希ちゃんは、好きな人いる?』
『俺はいるよ』
『えっ。この学校の人?』
『ヒロには秘密ー』
『どんな人?』
『えー? なんか、全部が愛しい』
『愛しい……』
『うわ、恥ずいからやめやめ』
恥ずかしそうに顔を手で覆い、耳を赤くした明希ちゃんが頭をよぎって──。
「……っ、ごめん、なさい」
口から、悔いる声がこぼれていた。
よろけるように壁に背がつく。
「──え?」
「私、明希ちゃんの気持ちを知らずに、たくさん傷つけた……」
もう、どんな顔をしたらいいかわからない。
「私のせいで明希ちゃん……っ」
張り裂けるような思いで叫んだその時、ダンッと、壁に手をつく重い音が耳の横から聞こえ、声が途切れた。
風圧で、ザワッと髪が揺れる。
反応する隙も与えず、私に覆いかぶさるように、明希ちゃんが私の耳に口を寄せた。
「あき──」
「見くびるな、ヒロ」