【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
ガラガラッとドアが開けば、視界が窓から差し込む光によって明るくなった。
美術準備室のどまん中、そこに置いてある机と椅子は昨日どおり。
だけど今日は、こちらに背を向けるようにして、そこに人が座っていた。
アッシュベージュの柔らかそうな髪のその人物は、明希ちゃんだ。
ドアが開いたにも関わらず、明希ちゃんはこちらに気づいていない。
なにをしているのかと、そっと足の爪先に力を入れて背後から覗き込めば、彼はノートにペンを走らせていた。
勉強しているのだろう。
邪魔するのもなんだし、このまま引き返した方がいいだろうか。
そんなことを思案した時、ふと、昨日の明希ちゃんの笑顔が頭をよぎった。
──『また明日』
このまま引き返したら、あの笑顔を裏切るような、そんな後ろめたい気持ちになって。
「……明希、ちゃん」