【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
家を出た頃には、雨はいつの間にか止んでいた。
空にその余韻はもうすっかりないけれど、あちこちから雨の残り香が漂ってくる。
大の家を出たその足で、私は近くの海へ向かった。
その海は、大と初めてギターを持ってセッションをした、思い出の場所だ。
頭上を覆う空はすっかり夕焼けの装いになっていた。
水色とオレンジが淡く混ざり合って、写真に収めたいほどに綺麗だ。
夜を迎える準備が粛々と行われている。
こうして今日も一日が終わり、だれの時が止まろうと、何事もなかったかのようにまた明日がやって来る。
そんな世界で私は今、生きている。
なんて理不尽で儚い世の中だろう。
それでもここで生きていくしかないのだ。