【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
その名を口にすれば、なぜか声音が緊張していた。
そんな力無い声が届いたのか、彼の背がピンと伸び、ペンを動かす手を止めて、こちらを振り返る。
パチンと目が合い、明希ちゃんは数度目を瞬かせたかと思うと、すぐに笑顔を浮かべた。
「あ、ヒロだ」
「来ちゃったんだけど……」
「待ってた」
涼やかに微笑みながら彼は立ち上がると、入って来た時には気づかなかった、側にあったもう一脚の椅子を机の反対側に置く。
「先生に頼んで用意してもらったんだ、君の特等席。
さ、どーぞどーぞ」
椅子を軽く引いてそこに座ることを促され、私は躊躇いがちに椅子に腰掛ける。
私が座るのを見届け、明希ちゃんが自分の椅子に戻る。