【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
ひとつの机を挟んで向かい合うと、思っていた以上の近さだった。
広い教室の中で、たったふたりしかいないのにこんなに近くにいるというこの状況が、なんとなく不思議な心地で。
視線をどこに向けたらいいかわからず、視線を伏せていると。
「じゃーん。ヒロに訊きたいことリスト〜」
かの有名な猫型ロボットみたいな台詞が聞こえてきて、つられるように私は顔を上げた。
見れば、明希ちゃんが顔の横にノートを持っていて。
「訊きたいこと、リスト?」
「そ。今から質問ぜめするから、覚悟してて?」
「へ?」
「まず、ヒロの誕生日は?」
私に余計な口を開かせる時間も与えず、明希ちゃんが質問してくる。
「……11月、30日」
「血液型は?」
「A型」
「好きな食べ物は?」
「食べられるものなら、なんでも」
「それ、ヒロの回答としては満点」
熱心にメモを取っていた明希ちゃんが、ふいに可笑しそうに笑う。
明希ちゃんがひとたび笑えば、あたりの空気がぱっと華やぐのは、天性のオーラというものなんだろうか。