【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。


目を輝かせ、尊敬の眼差しで見上げていれば、彼は眉を下げ力ない笑みを唇に乗せた。


『全然、いいものじゃないよ』


『え?』


『やりたくてやってるわけじゃないから。
若い頃に亡くなった父さんがモデルやってて、母さんが俺にもやらせたいんだって』


『そう、なの』


『……辞めたい』


〝ファン一号くん〟が隣に腰掛け、前髪を瞳の前に垂らしてぽつりとこぼす。


〝ファン一号くん〟……。


『辞めちゃったら?』


『え?』


私の言葉に驚いたように、彼が顔を上げる。

そしてビー玉みたいに綺麗だと見るたびに思わずにはいられない瞳が、私を映す。


『〝ファン一号くん〟がやりたくないなら、辞めたっていいんじゃない?
〝ファン一号くん〟の人生なんだから』


一瞬でも〝ファン一号くん〟の笑顔を曇らせる要因になっているのなら、私は反対だ。


お父さんの人生じゃない。

〝ファン一号くん〟の人生なのだ。


私が〝ファン一号くん〟の立場だったら、速攻辞めてると思うし。

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