【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
──あの後、〝ファン一号くん〟はモデルの仕事に行ったのだろうか。
そして続けたのだろうか。辞めたのだろうか。
結局、その話はその後出てくることはなくて、小学生だった私にそれを知る術はなかった。
押入れの中で眠っていたギターを取り出し、ネックをぎゅっと握りしめる。
〝ファン一号くん〟──ナツさん、あなたは今一秒でも長く笑っているのかな。
軽音部で歌うことになったのに声が出なかった、あの時の記憶がフラッシュバックする。
……私はまだ、歌が歌えないままだ。