【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
「ヒロちゃんヒロちゃん!
希紗ね、はっぴょうかいで、ネズミさんになるの!」
ピョンピョンと飛び跳ねながら、希紗ちゃんが弾んだ声を上げる。
「ネズミ?」
「おきがえして、ヒロちゃんにおひろめする!」
なぜかすごく嬉しそうに言って、希紗ちゃんが部屋を駆け出て行った。
その希紗ちゃんと入れ替わるように、制服から部屋着に着替えた明希ちゃんが部屋に戻ってきた。
「シンデレラの劇やるんだって」
「ああ、劇」
「それで今、すっごくはしゃいでんの。
一丁前に、お披露目なんて言葉覚えちゃって」
希紗ちゃんが走って行った方を見ながら、くすりと笑う明希ちゃん。
「あのくらいの歳の頃は、どんどんいろんな言葉覚えていくよね」
「でもまだ言えない言葉があるんだよ」
「パイナップルだっけ?」
「え……?」
記憶の中で思い当たったことを口にすれば、明希ちゃんが不意を突かれたように目を丸くする。
「明希ちゃん、前に言ってた」
たしか、大に代わって一緒に映画を観た時。
移動のために乗った電車の中で教えてくれた。