【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
希紗ちゃんを見送った明希ちゃんが、ベッドに背に、片膝を立てて私の横に並んで座る。
再びふたりになった部屋。
静かになった空気を、私は破った。
「ねぇ、明希ちゃん」
「ん?」
「また歌えるようになりたい」
一息で言ったそれは、ぶれることなく芯が通って明希ちゃんに届いた。
「一度は失敗もしたけど、大に嫌いって言われたのも誤解だったし、今ならもしかしたらまた歌えるかもしれないから」
一歩を踏み出したい。
昨日押入れでギターを見つけ、そう思った。
……本当はまだ少し、歌えないんじゃないかって拭いきれない不安もあるけど。