【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
反応する間もなくそのままぐいっと引き寄せられ、数歩後退した私の背中になにかが当たる。
咄嗟に振り返った私は、思わず目を見張る。
だってそこに立っていたのが、明希ちゃんだったのだから。
「おはよ、ヒロ」
「明希ちゃん……」
びっくりした。
まさかこんなところで会えるなんて。
「具合は? 大丈夫?」
「うん」
冷静に答えながら、その実内心では気恥ずかしさが込み上げていた。
昨日、キスしたんだ。この人と……。
だけど明希ちゃんは意識すらしてないようで、いつもどおりの大人びたトーンで聞いてくる。
「こんなところでなにしてんの」
「ええと、先生から本を返すように頼まれたの。
明希ちゃんは?」
「俺は、先生に読書したらどうだって言われて。
ヒロ、なにかおすすめない?
俺全然分からないんだよね」
「私のおすすめなら……」
そう言いかけた、その時。
「わっ……、明希くんだ……!」
「えっ、まじ? どうしよ!」
明らかに弾んだピンク色の声が聞こえてきて振り向けば、ふたりの女子が頬を染めて明希ちゃんに駆け寄ってきた。