【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
そして土曜日。
今日は明希ちゃんと水族館に行く日。
約束の1時よりも20分も早く、私は待ち合わせ場所である駅前に着いた。
いつもより早く目が覚めてしまって、その分ゆっくり支度しようと思っていたのに落ち着かず、結局大して時間も潰せないままここに来てしまった。
手持ち無沙汰で、右手に持っていたスマホに視線を落としたその時。
「ヒロ」
聞き慣れたあの声が、私の名前を呼んだ。
私をそう呼ぶのは、たったひとりだけ。
声に引っ張られるように顔をあげれば、黒いキャップを被り、カジュアルな恰好をした明希ちゃんが立っていた。
「おはよ。待った?」
軽やかにそう聞いてくる明希ちゃんは、やっぱりまわりの人の目を引いている。
「ううん、大丈夫」
「さ、行こっか」
「うん」
「道、こっちでよかったっけ」
「合ってるよ」