【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。


隣を歩く明希ちゃんのキャップの影の端正な横顔をさりげなく仰ぎ、ふと思う。

明希ちゃん、そういえばふたりで出かける時はいつもキャップを被ってた。


顔を隠すためだったのだろうか。

読者モデルをやっていたのが、もしも今隣にいる明希ちゃんだったとしたら──。


またそちらに思考が持っていかれそうになって、慌てて水族館に向けて思考を切り替える。


もう気にするのはやめなくては。

今日を楽しい1日にするのだから。


と、不意に明希ちゃんの声が落ちてきた。


「そういや珍しいね、ヒロが髪を縛ってるの」


思いがけない指摘に、ドキッと心臓が跳ねる。


いつもは下ろしている髪を、今日は縛ってきたのだ。だって。


「それは明希ちゃんと、で……」


「で?」


「で、デート、だから」


尻すぼみになって語尾が消えていく。

なんだか気合いを入れすぎたみたいで、こんなに恥ずかしいことってない。

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