【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
「おー、綺麗」
「すごい……」
大きな水槽を前に、私と明希ちゃんは感嘆の声をもらした。
円形の水槽の中を、大小様々な魚たちが泳いでいる。
「はは、ヒロ、目がキラキラしてる」
「久しぶりだから」
小さい頃に来た記憶はあるけれど、おぼろげな記憶のそれとは桁違いの迫力だ。
「俺も小学生ぶりくらいかも」
そう呟く隣の明希ちゃんをこっそり盗み見れば、明希ちゃんもまた穏やかな表情で水槽を見つめていた。
完成された隙のない横顔に、揺らめく水面の影が映る。
……明希ちゃん、綺麗。
そんな思いは、少しでも気を抜けばぽろっと口をついて出てしまいそうで、邪念を押し込むように再び魚の水槽に視線を戻すと、しばらくして明希ちゃんが遠くを指差した。
「あ、見て。
あそこにいるシャチ、なんとなくコタに似てない?」
明希ちゃんの指差す先を視線で辿れば、長方形の大きな水槽を、1頭のシャチが悠々と泳いでいる。
鋭い眼力と、なんとも言えない迫力と、堂々とした立ち居振る舞い。
「たしかに似てるかも」
くすりと笑いながら賛同する。