【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
「ね。めちゃくちゃデカいな」
「迫力あるね」
そう言いながら、シャチのいる水槽へ歩く。
と、その時、くいっと服の裾を掴まれた。
そしてそのまま、柱の影に連れ込まれる。
腰を引き寄せられ、顔を上げると、明希ちゃんがなにかを企んでいるように微笑んでいて。
「捕まえた」
「……っ」
「ね、ヒロからハグしてよ」
「えっ?」
ん、と腕を広げられ、困惑する。
そんなことを急に言われても、心の準備が整えられない。
「でも」
「大丈夫。暗いし見えないから。
充電させて」
たしかに、暗いことに加え柱の影だから、だれかから見つかるリスクは低い。
すでに至近距離だから、抱きしめると言っても、腕を明希ちゃんの背中に回すだけだ。
私は腹をくくると、ゆっくりと腕を回し、そしてぎゅっと抱きしめた。
すると、同じ強さで抱きしめ返される。
明希ちゃんの甘い香りに身体が包まれた。