【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。


「ね。めちゃくちゃデカいな」


「迫力あるね」


そう言いながら、シャチのいる水槽へ歩く。

と、その時、くいっと服の裾を掴まれた。


そしてそのまま、柱の影に連れ込まれる。


腰を引き寄せられ、顔を上げると、明希ちゃんがなにかを企んでいるように微笑んでいて。


「捕まえた」


「……っ」


「ね、ヒロからハグしてよ」


「えっ?」


ん、と腕を広げられ、困惑する。


そんなことを急に言われても、心の準備が整えられない。


「でも」


「大丈夫。暗いし見えないから。
充電させて」


たしかに、暗いことに加え柱の影だから、だれかから見つかるリスクは低い。

すでに至近距離だから、抱きしめると言っても、腕を明希ちゃんの背中に回すだけだ。


私は腹をくくると、ゆっくりと腕を回し、そしてぎゅっと抱きしめた。

すると、同じ強さで抱きしめ返される。


明希ちゃんの甘い香りに身体が包まれた。

< 308 / 428 >

この作品をシェア

pagetop