【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
……でも。
来ない。そう思って白い革の腕時計に視線落とすと、腕時計は14時を指していた。
約束の13時を、もう1時間過ぎている。
それからまた1時間待っても、明希ちゃんは一向に現れなかった。
何度スマホの画面を確認しただろう。
着信もメッセージの受信もない。
電話をかけても、繋がらない。
なにかあったのだろうか。
……ふと、頭をよぎる光景があった。
タンポポを捨てられた、あの時のことだ。
あの日、明希ちゃんはあっさりとタンポポを手放した。
あれが、本心だったとしたら。
──まさか、そんなわけない。
明希ちゃんを信じられない自分が嫌だ。
でも、交わした言葉が多い分、くれた優しさが多い分、怖くなってしまう。
……もしかしたら、と思うと。