【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。






それから俺たちは、水族館でふたりの時間を楽しんだ。


目をキラキラさせて魚を見つめるヒロは可愛くて。


水族館に誘った俺は、多分贖罪のつもりだったんだろう。

もうすぐ君の前から姿を消すことに対して。


今日がきっと、君に残してあげられる最後の思い出なのだ。

そして最後の思い出すら忘れてしまう俺を、どうか許してほしい。


楽しい時間はあっという間で、水族館をひととおり見終えた俺たちは帰路を歩いていた。


「はー、なんかあっという間だったなー」


「うん」


俺の呼びかけに、ヒロが声のトーンをさりげなく落とす。


「すごく楽しかった。
また、一緒に来たい」


また一緒に来たい。

なにげない彼女の言葉が、俺の胸を締めつけた。

< 365 / 428 >

この作品をシェア

pagetop