【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
そんな雰囲気を遮るように俺は、ヒロのために買いに行ったお土産を袋から取り出す。
そして、長い睫毛を伏せ視線を下げたヒロの前に、ペンギンのぬいぐるみを差し出した。
「ひーろちゃん」
俺の声に顔を上げたヒロの目が、驚いたように見開かれる。
ね。笑って、ヒロ。
「明希ちゃんも楽しかったぺん!」
「え?」
「君に、プレゼントです」
「これ、私に?」
「ペンギンに夢中だったから、つい買ってあげたくなっちゃったよね。
俺だと思って、可愛がってやって?」
花が咲くみたいに、ヒロの頬がほころんでいく。
そしてそれが、俺の心をじんわりと温かくする。
昨日のヒロは、その前のヒロは、どんなふうに笑っていたんだろう。
「ありがとう、明希ちゃん。
すごくすごく可愛がる」
「はは、ありがと」
嬉しそうにぬいぐるみを抱きしめるヒロに、会えるのは今日が最後だなんて、そんな酷なこと言えるはずがなかった。