【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
「……っ、返して……!」
ひゅっと心臓が切りつけられたかのような感覚に陥る。
だけど小林先輩は、私の腕を振り払いながらパラパラッと軽くノートを捲る。
「やっぱり明希の字だ。
ふたりでやりとりしてたノートかなんか?
こういうの、本当うざい」
呆れたようにそう言いながら、ふと小林先輩が胸ポケットからなにかを取り出した。
それを見た途端、背筋が凍りつく。
──小林先輩が手に持っているのは、ライターだ。
「それ……どうする気……」
「邪魔なものを処分するだけ」
「……っ」
一瞬でこれから起こるであろう事態を理解したけれど、遅かった。
シュボッと音を立ててライターに灯った火は、残酷にも目の前でノートの端に着火した。
小林先輩の手から取り戻そうと腕を伸ばした寸前で、火のついたノートは数メートル先のコンクリートに投げられた。
瞬く間にノートを黒く焦がしていく、眩しいほどの炎。