【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
「遊園地も隣駅にあるので、そっちの方が」
そう付け加えた私に、明希ちゃんが微笑む。
「君のおすすめなら、そっちにしようかな」
信頼を寄せてくれているからこその笑顔に、罪悪感が芽生えてズキンと胸が痛む。
私、嘘ついたのに……笑いかけないで。
ふたりで、あの水族館に行ってほしくなかった。
明希ちゃんが水族館を思い返す時、隣にいるのが私ではなくて小林先輩になってしまうのが、嫌だと思ってしまった。
「そういや今日はどこ連れてってくれんの?」
なにも知らない明希ちゃんのいつもの声が降ってきて、私は沈んだ気持ちを振り払った。
今日は、楽しい思い出を作りたくて来たのだ。
「今日行くのは、私と弘中さんが出会った場所です」
「おー、なんか嬉しい。
それじゃ連れてってください、未紘さん」
「はい」
歩幅を合わせ、私たちは歩き出した。