【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
『難しいこともなにもかも取っ払ったとして、最後にはやっぱり君のことが好きってことしか残らないんだろうなって』
記憶の中の明希ちゃんが目を細めて笑んで、──消えた。
「明希、ちゃん……」
思わず懐かしい呼び名が口からこぼれた、その時。
こちらに背を向けるように立っていた明希ちゃんが、どこからともなく名前を呼ばれたことに気づいたのか、ふとこちらを振り返った。
そして。
押し寄せる生徒でごった返す中、磁石で引き寄せられるように、バチンと視線がぶつかってしまった。
「……っ」
思わず息をのみ、反射的に身を翻してその場を駆け去る。
「あ! おい……!」
私を呼び止めようとした加代子ちゃんの声にも、反応することはできなかった。