【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。


どうして彼がここにいるのか、混乱したまま窓ガラスに映るうつむき加減な彼を見つめた、その時。


「……明希ちゃん、って呼んで」


荒い息の間に発せられた予期せぬ言葉に、私は目を見張った。


「え?」


なん、で……。


「呼んで。
呼ぶまでここから逃さない」


耳元で有無を言わせないというように促され、震える声を漏らす。


「……明希、ちゃん……」


──その瞬間。

突然後ろから、覆うように力強く抱きしめられた。


そして私の首元に顔を埋めた明希ちゃんが、涙を堪えるように押し込めた声を吐き出す。


「……なんでか分からないけど、俺は君にずっとそう呼ばれたかった気がする」


「……っ」


──『なんでか分からないけど、君を傷つけなくないと思った』


記憶の中の明希ちゃんの言葉と重なったその瞬間、爆発するかの勢いで感情のダムが決壊した。


「ふ、うっ……」


……どうして。

どうしてあなたは、何度忘れてもそのたびに私を見つけてくれるの……?


だめだよ、こんなのずるすぎるよ明希ちゃん。

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