【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
「あ」と声をあげる間もなく、拾い上げられたことによって、写真の表が露わになった。
「……これ、だれ?」
明希ちゃんが写真に視線を落としたまま、問うてくる。
それは、中学に入学した時の、私と大のツーショット写真だった。
入学生の証である赤いカーネーションを制服のポケットに刺し、顔を近づけ笑顔でピースする私と大が写っている。
「それは……幼なじみの大」
ぽつりとつぶやき返すと、明希ちゃんが写真をこちらに返しながら、詮索の眼差しを向けてきた。
「大くん?
仲よさそうに見えるけど──付き合ってるとか?」
「つ、付き合ってない」
想定外の問いかけに、慌てて否定する。
付き合ってるとか、ありえない。
「……私の、片想いだから。
幼稚園の頃から一緒で、ずっと好きなの」
「だけど」と続ける私はいつの間にか、膝の上に置いていた手を、なにかに耐えるようにぎゅうっと握りしめていた。
そして、重い口を再び開く。
「大は、私のことなんて思ってない」
と、その時。ふたりの時間に割り込むように、昼休みだけになる、3限目開始5分前を知らせるチャイムが鳴った。