【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。


「四つ葉のクローバーなら、ミウが探してきてあげるよぉ」


「はは、ありがと」


眼前で繰り広げられる会話に、私は重箱を抱えたまま固まる。


『ありがと、ヒロ。宝物にする』


昨日そう言ったのに。

笑って、くれたじゃない。


全部うそ、だったの?


ぽいっとあまりにも呆気なく捨てられ、草むらに隠れてしまったクローバーは、緑に紛れて見当たらない。


気づけば、重箱を持つ指の先に力がこもっていて。


……ああ、やっぱり。

人のことなんて、信じなければよかった。


「──やっぱりな」


不意にぽつりとつぶやかれた声が聞こえてきて振り向けば、大がそこに立っていた。


「大……」

< 79 / 428 >

この作品をシェア

pagetop