【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
大は、黒い前髪の下から覗くすっと通った瞳で、女子と談笑する明希ちゃんを見据える。
「簡単に気を許すなよ、未紘。
あいつ、お前のことからかってただけなんじゃねぇの」
核心をついてくる大の言葉が、胸に刺さる。
「あんまり関わらない方がいい。
結局みんな離れていって、お前が傷つくだけだ」
私はうつむき、重箱に視線を落とした。
今朝の私は、今頃明希ちゃんとこのお弁当を食べているつもりでいた。
それなのに、現実はこれだ。
少し、ほんの少し、浮かれていたのかもしれない。
話し相手ができたことに。
こんなの、やっぱり私らしくなかった。
だれかに期待したって、どうせ裏切られるだけ。
痛いほど、わかっていたはずじゃない。
「私、戻るね」
大にぽつりとこぼした私は、重箱を抱え直し、来た道を再び歩きだした。