【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
もうすでに見慣れてしまった美術準備室のドアの前に立ち、躊躇することなくドアを開けた。
途端に生温い空気が襲ってくる。
開けた景色の中で真っ先に目に飛び込んできたのは、銀色の短髪の男の人の後ろ姿。
体格からも髪色からも、そして醸し出す雰囲気からも、彼が明希ちゃんじゃないことは一目でわかる。
明希ちゃんよりも少し背が高い。
身に覚えのない彼は、私のドアを開けた音を聞きつけ、こちらを振り返った。
「…………」
そして無言でこちらを見つめてくる。
顔は整っているけれど、とにかく目つきが鋭い。
派手なピアスが異様な存在感を放ち、ブレザーの下に着た派手な紫色のシャツが目を引く。
という、総じて不良の出で立ち。
銀色の髪の人なんて、初めて見た。
間違えて入ってきてしまったのだろうか。