【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。






もうすでに見慣れてしまった美術準備室のドアの前に立ち、躊躇することなくドアを開けた。

途端に生温い空気が襲ってくる。


開けた景色の中で真っ先に目に飛び込んできたのは、銀色の短髪の男の人の後ろ姿。


体格からも髪色からも、そして醸し出す雰囲気からも、彼が明希ちゃんじゃないことは一目でわかる。


明希ちゃんよりも少し背が高い。

身に覚えのない彼は、私のドアを開けた音を聞きつけ、こちらを振り返った。


「…………」


そして無言でこちらを見つめてくる。


顔は整っているけれど、とにかく目つきが鋭い。


派手なピアスが異様な存在感を放ち、ブレザーの下に着た派手な紫色のシャツが目を引く。

という、総じて不良の出で立ち。


銀色の髪の人なんて、初めて見た。


間違えて入ってきてしまったのだろうか。

< 82 / 428 >

この作品をシェア

pagetop