【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。






数十分後、私は明希ちゃんと虎太郎さんと一緒に見知らぬ道を歩いていた。


来て、と言われて、断る理由が即座に見つからなかった。


そして理由を探そうとしてる自分に、なんだか違和感を覚える。

少し前の私なら、わざわざ理由を見つけなくても、一言断っていただろうに。


なんとなくすっきりしない心地のまま、虎太郎さんのあとをついていくように、明希ちゃんと並んで歩く。


今はどんな顔で明希ちゃんと向き合えばいいのかわからなくて、沈黙を守ったままうつむいて歩いていると。


「そういえば、この前さ」


不意に隣から、いつもとまったく変わらない、私に呼びかける声が聞こえてきた。


「なに?」


目を見ないまま、それだけ答える。


声に棘があることが自分でもわかった。

無意識に、声で明希ちゃんを傷つけようとしてる。


「……ヒロ?」


視界の端に、こちらに伸びてくる手が映った。


明希ちゃんの手が、私の頬に触れる。


「なにかあっ──」


明希ちゃんの声が途切れた。

私がその手を振り払うのと同時に。


「さわらないで」


自分でも聞いたことのないほど冷たい声が鋭い矢のように放たれて、明希ちゃんを拒絶した。

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