【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
「にぃにのおともだち〜?」
希紗ちゃんの疑問に、しゃがみ込んだ明希ちゃんが希紗ちゃんの両手を握り、正面から目を見つめて答えた。
「ヒロは、俺の大切な人」
なんの迷いもない声音で発せられた言葉に、思わず声を詰まらせる。
あまりに綺麗な響きを咀嚼できない。
額面どおりに受け取っていいのか、心がざわめく。
「ヒロちゃんっ」
「そ、ヒロちゃん」
希紗ちゃんがなぜか嬉しそうに反芻し、それから私の元にタタタッと駆けてきたかと思うと、私の人差し指を小さな手で握りしめた。
「よろしくね、ヒロちゃんっ」
「……よろしく」
「急にごめんね、ヒロ。
今日、希紗のお迎え行くこと頼まれててさ。
どうせなら、君と一緒に行きたいなって」
小さな子は、どちらかといえば苦手だ。
行動の予測がつかないし、とんでもないことを言いだしたりするし。
だけど。
「えへへ、ヒロちゃんおにんぎょうさんみたい。
かあいい〜」
私の指をぎゅっと握りしめて、無邪気な満面の笑みを向けてくれる希紗ちゃんは可愛くて。
「ありがとう」
意図せず、かすかな微笑がこぼれる。