君を想って
それからの三ヶ月間は今まで生きてきた中で最高に楽しい時間だった。

会社が終わると毎日病院に顔を出し何気ない話しをしては二人で笑った。

明希が一時的に退院した時は、就職してから貯めていた貯金を使ってずっと行きたいと言っていた旅行にも行った。
「誠一、旅行に連れてきてくれてありがとう」
明希は嬉しそうにそう行った。

「喜んでくれてよかった。僕も明希と一緒に旅行ができて楽しかった」

「最高の思い出になったよ。私この日のことを絶対忘れない。死んだって忘れない」
そうに言って海を眺める明希の目は、夕日のせいか少し泣いているように見えた。
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