君を想って
遥と連絡がとれなくなって年が明けた。

その間に何度かメールを送ったがやっぱり返信は返ってこなかった。

そんなある日会社から帰ると家に手紙が届いていた。

遥からの手紙だった。

その手紙を見て僕は明希からもらった手紙を思い出した。

明希が死んで結局開けることができなかったけどいまなら見れる気がした。

僕は勇気を出して手紙を読むことを決意した。

手紙を開くとそこには明希の字で


誠一へ
優しい誠一のことだから私を忘れることができないかもしれないけど、頑張って次に進んでください。お仕事頑張ってください。しっかり生きてください。誠一に悲しい思いをさせてごめんなさい。でも私、誠一の笑った顔が好き。だから笑って、私の分まで幸せになってください。私は誠一に出会えて本当に幸せでした。
ps実は私、誠一に一目惚れだったよ 。


長くはない文章だったけど涙を我慢することができなかった。

僕は明希と出会えて幸せだったと改めて感じた。

明希と一緒にいた一秒一秒が僕の中の宝物だと。

涙はいつまでたっても止まらなかった。

少し落ち着き、遥からの手紙を見た。


誠一さんへ
誠一さんはとても優しくて私は今でも誠一さんが好きです。でも誠一さんが私を重ねて違う人を見ていることずっと知っていました。
だって私を見てる時誠一さんとても悲しそうな顔をしてるんだもん。このままじゃお互い不幸になると思ったから私は誠一さんと別れることを決意しました。
誠一さんに会えてほんとによかった。


遥は気づいてた。僕がずっと明希を忘れられていないことを、それでも遥は僕を好きだと言ってくれた。

そして自分の中で彼女がとても大切な存在になっていることにようやく気づくこともできた。

明希を忘れることはできない、それでも今、僕は遥が好きだと気づいた。

それは明希として見ているんじゃなくて遥が好きだということに。

僕は急いであの公園へむかった。そこに行けば遥に会える気がした。
< 8 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop