~白の初恋~ 少し番外編追加しました。
龍の声がする。
「・・・相手が悪かったわね。クソ男。」
人気のない路地に、澪の透き通った声が響いた────。
ドゴッッ
スリットの入ったドレスから伸びた綺麗な足は男の顔を直撃していた。
それはまるで映画のワンシーンのようだった。
龍は澪からの連絡を受け、急いで駆けつけたが、目に入ったのは澪が男の顔面に蹴りを入れている光景。
(そうだった・・・心配いらなかった。
この女、ゴリラだったじゃねーか。)
そう思いながら、倒れた男と澪に駆け寄る。
「おい。」
声を掛けると、
雲の隙間からの月明かりに照らされて。
雨の雫を光らせて振り向いた澪が、笑顔で
「ねっ?私、強いでしょ?」
「あ、あぁ・・・。」
ただ、綺麗だと思った。
こんな女、今までいなかった。
(フッ。この女、、すげぇな)
龍の中で澪が
ただの仕事仲間のくそ生意気なゴリラ女から、
1人の女へとレベルアップした瞬間だった。