いつかこの告白があなたに届きますように
1.雨音
4年前。
「宮野、付き合わない?」
宮野十香(みやのとうか)、14歳、ゴールデンウィークに入る2日前の5月1日。
中学校の帰り道、好きな人に告白された。
「え…。何の罰ゲーム?」
「罰ゲームとかじゃないから。」
「じゃあ本当に…?私、ずっと○○のこと好きだったんだよ?…夢じゃないんだよね?嘘とか罰ゲームとかじゃないんだよね?」
「だからそうだよ。」
「…どうしよう。凄く嬉しい。」
あの時の私はこれ以上の幸せはないというくらいの喜びを感じていた。
○○○○は同級生で中学1年生の時に出会った。
大雨が降っていて放課後という事もあって校内にはほとんどの生徒が帰っていた。
そんな春のある日、私達は出会った。
図書委員をしていた事もあり、放課後は誰も来ない図書室で過ごすのが私の日課だった。
大雨のおかけで普段部活をしている騒がしい生徒達は雨が今後酷くなるという予報を聞き速やかに下校していた為、図書室には雨音のみが響き渡っていた。
雨音に聴き入っている時だった。
微かにピアノの音が響いていた。
嫌いな音。
昔、母親に3歳の頃から習わされていた事を思い出し私を苛つかせる。
練習をさせられる毎日が嫌いだった。
中学生に進級するのと同時に両親が離婚し父親に引き取られた私は直にピアノを辞めることができた。
折角の綺麗な雨音がピアノのせいで聞こえなくなってしまった。
ムカついた私は読んでいた本を閉じると一言文句を言ってやろうと3階にある図書室を出て2階上にある使われていない旧音楽室へと向かった。
5階までは思っていたよりも道は長かった。
普段から運動を全くしないインドアの私には3階から5階へと続く階段がとても長く感じた。
旧音楽室に着いた頃には息が上がっていて疲れ果てててしまっていた。
文句を言ってやろうと思っていたが疲れ果てていた私には文句よりも誰が弾いているのかという方に興味が湧いていた。
階段を登っている間、聴こえてきた曲は全て上級者向けの曲ばかりを間違える事もなく弾いていた。
その曲達はかつて母が良く弾いていた曲達。
私が一度も弾くことが出来なかった曲達だった。
バレないようゆっくりと覗くと部屋の真ん中でグランドピアノを弾いている男子の姿があった。
顔が見えない私はもう少しと思い前へ踏み出すとドアが押されてしまい部屋の中へと入ってしまったのだ。
それに気づかれてしまいピアノの音は止まった。
「ごめんなさい。」
怖くなった私は顔を一度下げると上げることが出来ず、そのまま回れ右をして図書室に逃げえようと決心した。
何故?
だって一瞬だったがあの顔は人見知りの私でさえ知っている有名人だったからだった。
「待ってよ。宮野。」
初対面で呼び捨てされ余計恐怖心が増してしまった。
恐る恐る顔を上げるとそこには予想通りの人物が目の前に立っているのだった。
「宮野、付き合わない?」
宮野十香(みやのとうか)、14歳、ゴールデンウィークに入る2日前の5月1日。
中学校の帰り道、好きな人に告白された。
「え…。何の罰ゲーム?」
「罰ゲームとかじゃないから。」
「じゃあ本当に…?私、ずっと○○のこと好きだったんだよ?…夢じゃないんだよね?嘘とか罰ゲームとかじゃないんだよね?」
「だからそうだよ。」
「…どうしよう。凄く嬉しい。」
あの時の私はこれ以上の幸せはないというくらいの喜びを感じていた。
○○○○は同級生で中学1年生の時に出会った。
大雨が降っていて放課後という事もあって校内にはほとんどの生徒が帰っていた。
そんな春のある日、私達は出会った。
図書委員をしていた事もあり、放課後は誰も来ない図書室で過ごすのが私の日課だった。
大雨のおかけで普段部活をしている騒がしい生徒達は雨が今後酷くなるという予報を聞き速やかに下校していた為、図書室には雨音のみが響き渡っていた。
雨音に聴き入っている時だった。
微かにピアノの音が響いていた。
嫌いな音。
昔、母親に3歳の頃から習わされていた事を思い出し私を苛つかせる。
練習をさせられる毎日が嫌いだった。
中学生に進級するのと同時に両親が離婚し父親に引き取られた私は直にピアノを辞めることができた。
折角の綺麗な雨音がピアノのせいで聞こえなくなってしまった。
ムカついた私は読んでいた本を閉じると一言文句を言ってやろうと3階にある図書室を出て2階上にある使われていない旧音楽室へと向かった。
5階までは思っていたよりも道は長かった。
普段から運動を全くしないインドアの私には3階から5階へと続く階段がとても長く感じた。
旧音楽室に着いた頃には息が上がっていて疲れ果てててしまっていた。
文句を言ってやろうと思っていたが疲れ果てていた私には文句よりも誰が弾いているのかという方に興味が湧いていた。
階段を登っている間、聴こえてきた曲は全て上級者向けの曲ばかりを間違える事もなく弾いていた。
その曲達はかつて母が良く弾いていた曲達。
私が一度も弾くことが出来なかった曲達だった。
バレないようゆっくりと覗くと部屋の真ん中でグランドピアノを弾いている男子の姿があった。
顔が見えない私はもう少しと思い前へ踏み出すとドアが押されてしまい部屋の中へと入ってしまったのだ。
それに気づかれてしまいピアノの音は止まった。
「ごめんなさい。」
怖くなった私は顔を一度下げると上げることが出来ず、そのまま回れ右をして図書室に逃げえようと決心した。
何故?
だって一瞬だったがあの顔は人見知りの私でさえ知っている有名人だったからだった。
「待ってよ。宮野。」
初対面で呼び捨てされ余計恐怖心が増してしまった。
恐る恐る顔を上げるとそこには予想通りの人物が目の前に立っているのだった。