マリッジコンプレックス
「秋絵さんは?その後、彼とはどうなんですか?」




恐る恐る近況を探るように聞くと、秋絵さんはニッと笑ってグラスを傾けた。


一口コクリと淡い紫色のカクテルを飲み込んでから、私も、とウインクする。




「希美に負けてらんないからさ?

私もあれから会ってない

しつこいくらいにメールやら電話やら来てるけどね?

まったく、こっちから連絡したら困るくせに、勝手だよね?」




少し寂しそうに笑う秋絵さんは、まだきっと吹っ切れてなんかなくて、私と同じように会えば思いが溢れるのがわかってるから敢えて連絡を断ってる。

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