マリッジコンプレックス
一瞬、奥に座るか手前に座るか悩んだけれど、顔が見えた方が探しやすいだろうと、奥の席に腰を下ろした。


少しだけ、もう少し落ち着いた店にすれば良かったかな?と後悔したのは、隣のテーブルとの距離が近いこと。


隣をちらりと盗み見ると若い男性が待ち合わせなのか暇つぶしにスマホでゲームをしている。


誰も気にしやしないんだろうが、お見合いみたいなことをこれからする手前、恥ずかしさもあった。


緊張しながらバッグからスマホを取り出して時間を確認する。


11時5分前。


約束の時間にきちんと来れるかどうかも選ぶ基準になってる。


もし遅れてきたら、もともとルーズなのか、それとも私相手にそれほど気合いが入ってない証拠なのか。


そんな卑屈な思いが頭をもたげる。


よっぽどアドバイザーに言われた一言がショックだったのかもしれないと、思わず苦笑した。



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