マリッジコンプレックス
「ぶっ!お前、相変わらずだなぁ、くっくっく」
目の前の男はそんな私を見てゲラゲラ笑ってる。
あったまきた!
高いお金払って、40代のおっさんでも目をつぶって、それでも結婚したいから頑張ってここにいるのに、なんでこいつはいつも邪魔ばっかりするんだ!
「ちょっと、顔貸してよ」
周りに注目されたまま、こんなとこになんていられない。
私は怒りをなるべく抑えながら、静かに席を立って塁を睨みつけてそう言った。
「えっ?なになに?遊んでくれんの?」
相変わらずの軽い反応は無視して、さっさと店を後にする。
店を出た瞬間、振り返りざまに言ってやった。
「私のお見合い邪魔した責任、どうとってくれんの?」
腕組みしながら仁王立ちで、背の高い塁を見上げる。
目をぱちぱちさせながら私を見下ろす塁の顔はやっぱり私の好みで、それが余計に悔しかった。