マリッジコンプレックス



男と女の友情なんてありえないと思ってたけど、塁はまったく私に女を求めてないみたいで。


この熱気も声援も一体感も塁と一緒だと2倍にも3倍にも感じられて大好きな時間だった。


ここにくると改めて塁が好きだと実感させられる。


だから嫌だったのに……


「おっ!次、1番からだぞ!希美」


そんな私の気持ちなんかお構いなしに試合を見つめる彼を私はいつまで見てなくちゃいけないんだろう。


「……はぁ」


思わずため息をつくと、グラウンドを見て応援していた彼がちょっと困ったような顔でこちらを見た。


「なんだよ、もっと楽しめ?せっかく来たんだろ?お前と来んのが1番楽しいから誘ってんだぞ?」


んっ?て顔して覗き込んでくる。


わしゃわしゃって頭を撫でながら。
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