初恋
雨色



異様なほど静かな満員電車を降りると、これまた異様なほどの雑音がイヤホンを通して耳に入ってくる。


空色のしおりを挟み、本を鞄にしまった。



当たり前のようにウォークマンから流れる音楽の音量を上げる。




夏はまだ遠い。



明日の汗を拭いながら、空を見上げた。




雨はまだ止まない。





虹はまだかからなかった。






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