【完】真昼の太陽

あいつ、苦手だ。
私を見る目がまっすぐで。
迷いがなくて、澄んでいて。
綺麗だった。


……気持ち悪い。


自分が暗闇にいることを突きつけられて。
ああやって存在意義がある人を見ると。
吐きたくなる。


もう一生会うことないんだろうけど。


ああもうあいつのせいでいつもより帰るの早くなっちゃったじゃん。
時計を確認すれば、まだ中学生の部活組が帰ってきていない時間で。
裏口から入るのもおかしいから。
正面玄関から施設の中へ入った。


子供達はちょうど入浴時間らしく。
廊下には誰もいなかった。


一応、施設長たちにあいさつした方が良いかな。
苦手なんだよね。あの人たち。
ため息をつきつつ、礼儀だと思ってリビングへ向かった。


「~~~~~」


「~~~~~~~」


リビングのドアを開けようとした時。
中で話し声が聞こえた。


「真昼ちゃんの事なんだけど。」


……私?
入ろうにも入れず。
ドアノブを掴もうとした手を戻した。



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