【完】真昼の太陽
嘘がすらすらと出てくる。
思ってもいないことがぺらぺらと口から出る。
バイトなんて。
保護者のサインがないからできなくて。
お金なんて一銭もたまってないし。
ここを出たら行くところなんて、ない。
私の言葉にあからさまに安堵した施設長は。
肩の荷が下りたとでもいうように憑きものが取れた顔をしていた。
「ちなみにその子が来るのはいつですか。」
「……2日後なんだけど。急でごめんね。」
「2日後、ですか……。」
「アパート借りるまでそのバイト先の人にお世話になって。」
「……分かりました。」
そう言って、リビングを後にした。
2日後って。
最初から追い出すつもりだったんじゃん。
逃げ道も残されてないし。
……ほんとわたし、いらない子なんだな。
部屋に戻ってからも現実が受け入れられなくて。
明後日にはここを出なくちゃいけない。
分かってるけど、何からしたらいいのか分からなくて。
何も考えたくない。
現実から逃げるように。
私は夢の世界へと堕ちていった。
起きたら全部が嘘で。
私以外が死んでいたらいいのに。
そう思って、深く堕ちた。