【完】真昼の太陽
腰から腕に手が移動して。
力強く握りしめられる。
骨が軋むほど強く握られたそれはぎりぎり痛んで。
思わず涙目になってしまう。
「や、やめっ……!」
路地裏に引っ張られそうになった時。
ふと後ろから覆われるように抱きしめられた。
「僕の連れに何か用?」
甘いチョコレートのような香りがした。
甘くて、眠くなる。
まどろんだような空気が漂う。
「誰だよ……って、都雲さん!?」
後ろの人物の顔を見るや否や青白いを通り越して真っ白になった男は。
足をガクガクさせながら逃げていった。
「大丈夫かい?」
「は、はい。ありがとうごさいます。」
お礼を言うために後ろを振り向くと。
私より10cmは高い身長。
銀色の髪の毛は光に透けて、真っ白に見える。
白くて美しい男の人がいた。
「君ここら辺じゃあ見かけない顔だけど……。」
「えっと……。」
なんて言えばいいんだろう。
ていうか、説明することなんてないし。