【完】真昼の太陽
顔見えなくても分かる。
こいつ、笑ってる。
出会った時から余裕綽々な顔で。
自信があって。
存在意義のある人。
頬を伝う冷たい感触。
崩れかけた心が温かくなっていく。
かすれた声で、私は呟いた。
「………………助けて。」
小さな声で呟いたのに。
御影は私の腕を引きよせて優しく抱きしめた。
「よく言った。」
頑張ったなって。
頭を何度も何度も撫でながらそう言った。
我慢の糸が切れて。
私は大声で泣きじゃくった。
泣き方すら忘れていたのに。
私は、脇目もふらず泣いた。
本当はずっと、誰かにこう言ってほしかった。
ひとりでも生きていけるって虚勢を張って。
でもずっと家族を信じられるみんなが羨ましくて。
居場所が無条件で存在するみんなが妬ましくて。
当たり前がない自分が嫌いで。
全部、諦めてた。
誰かに助けてって言いたかった。
誰かに居場所がほしいって言いたかった。
誰かにいていいんだよって言ってほしかった。
私を、見てほしかった。