【完】真昼の太陽
第2話
朝、まだ誰も起きていない時間に施設を出る。
裏口に鍵をかけて。
ひっそりと施設を後にする。
ポケットにしまってある唯一の所有物である。
音楽プレーヤーを取り出して。
イヤホンをおもむろに耳に入れる。
別に聞きたい曲なんかないから。
中には一曲も入っていない。
こうしてイヤホンをしていれば。
煩わしい人間関係に悩まされることもない。
楽で、いい。
「おはよ……う。」
教室のドアを開けると。
クラスメイトの女子が声をかけてきた。
でも私に声をかけたわけじゃない。
ドアが開いたから反射的に挨拶をしただけだ。
その証拠に私の顔を見て青ざめている。
隣に座っていた女子がその子に肩を引っ張る。
「ばかっ、なに今井さんにあいさつしてんのよ。」
「だって今井さんだと思わなくて……。」
ひそひそ言い合うふたりを一瞥して。
私は自分の席へ向かった。
学校へ来ても私の居場所なんてなくて。
人間関係は煩わしい。
友達なんて、そんな紙切れみたいな関係。
必要ない。
裏口に鍵をかけて。
ひっそりと施設を後にする。
ポケットにしまってある唯一の所有物である。
音楽プレーヤーを取り出して。
イヤホンをおもむろに耳に入れる。
別に聞きたい曲なんかないから。
中には一曲も入っていない。
こうしてイヤホンをしていれば。
煩わしい人間関係に悩まされることもない。
楽で、いい。
「おはよ……う。」
教室のドアを開けると。
クラスメイトの女子が声をかけてきた。
でも私に声をかけたわけじゃない。
ドアが開いたから反射的に挨拶をしただけだ。
その証拠に私の顔を見て青ざめている。
隣に座っていた女子がその子に肩を引っ張る。
「ばかっ、なに今井さんにあいさつしてんのよ。」
「だって今井さんだと思わなくて……。」
ひそひそ言い合うふたりを一瞥して。
私は自分の席へ向かった。
学校へ来ても私の居場所なんてなくて。
人間関係は煩わしい。
友達なんて、そんな紙切れみたいな関係。
必要ない。