【完】真昼の太陽



夜、またいつものように繁華街へ行く。
定位置に腰をおろし、人の波をぼうっと眺める。
この人たちは一体どこへ帰るんだろう。


どれだけ汚い事をしても。
自分の帰る場所がある。
居場所がある。


私は、こんな下卑た人たち以下だ。
誰にも必要とされない。
存在価値を見いだせない。
ただの、クズ。


悲観的になりたいわけじゃない。
誰かにそんなことないよなんて。
偽善的な事を言われたいわけでもない。
悲劇のヒロインを気取りたいわけでもない。


これがまぎれもない事実だからだ。
普遍的なもの。
私がいらない子だというのは。
第3者から見ても分かる事実なのだ。


だから私はその事に目をそらさず受け入れる。
間違っていないという自覚があるから。
私は受け入れながら今日も死ねずに生きているんだ。


「ねえ君、ちょっと今時間ある?」


「俺らとイイことしない?」


今日も相変わらずバカなナンパ男に声をかけられる。
制服で来てるからだろうか。
女子高生というフレーズはそんなにいいものなんだろうか。
こんなブランド。
脱ぎ捨ててしまえるのなら捨ててしまいたい。


なにものでもない。
ただの無価値な私になってしまいたい。


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