それでも好きだから。
そして、卒業式当日。


「おはよう、華恋」

「りりあ! おはよう。そして合格おめでとう!」

「ありがとう」


卒業式は泣かないって決めていた。

最後まで笑顔でいたかったから。


卒業式が終わって、最後のHR。


「みんなに伝えたいことがあるんだ」


真剣な表情の遠山先生。

大好きだった遠山先生。

先生との思い出が蘇る。


「先生! 私たちも伝えたいことがあるんです! 先に言ってもいいですか?」

「いいけど…」

「せーの!」


ルーム長の掛け声とともに、私たちは声を揃えて叫んだ。


『先生! 今までありがとうございました!』


そして…


『ご結婚おめでとうございます!』


それと同時にクラッカーの音が鳴り響いた。


「どうして、知ってるの?」

「華恋が教えてくれたの」


そう言ってりりあは私の肩を軽くたたいた。


「あの日、遠山先生と植村先生が話してるのをたまたま聞いてしまって…すみませんでした」

「それで、葉山が計画してくれたの?」

「はい」

「すごく嬉しいよ。ありがとう」


その言葉に顔を上げると笑顔の先生と目があった。


やっぱり、私は遠山先生のことが好き。

今なら言えるかな。


「遠山先生。嫌いだったから避けていたわけじゃなくて、その逆です。好きでした。大好きでした!」


きっとクラスのみんなにはバレていたんだろうな。
誰も何も言わなかった。


先生だけが少し困った顔をしていた。


結婚おめでとうって言った後に、こんなことを言うのはおかしいかもしれないけど。

伝えないで後悔したくなかったから。

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