それでも好きだから。
「先生。私に恋を教えてくれてありがとうございました。植村先生と2人で、幸せな家庭を築いてください」
「葉山。ありがとう」
私の頭を優しく撫でてくれた先生の手は、すごくあったかくて……
泣かないって決めてたのに、今まで我慢していた涙が一気に溢れ出した。
「あー! 先生が葉山を泣かせたー!」
「え、葉山!? これは誤解だ!」
「女の子泣かせたー!」
みんなは笑いながら遠山先生の弱点である脇腹をくすぐり始めた。
「華恋、頑張ったね」
「ありがとう、りりあ」
「2人とも! 写真撮るよ!」
「うん!」
楽しかった高校3年間。
遠山先生に恋した1年間。
全部私の大切な思い出。
「葉山は先生の隣ね!」
「え!?」
「葉山、おいで」
「うっわー! 先生ってほんと罪な男だわ」
「上谷。私は先生よりも素敵な人見つけて、先生よりも幸せになるから気にしてないよ!」
「もっと言ってやれ、葉山!」
「みんなの幸せな報告、待ってるよ」
隣で笑う先生は、甘いイチゴの香りがした。