サクラサク~恋の蕾、花が咲く時。~
第17章 卒業



月が変わり、
今日から3月。




今日は3月1日。



卒業式である。




「今日で卒業だなんて…
全然実感わかないわよね」


「たしかに」


「俺の学生時代は
今日で終わって
しまうのか…」


「4月からは
社会人だものね」



「俺、七海と
離れるのやだ!!」


卒業式が始まる前から
泣いている優真くん。


「毎日優真の家に行くって
私は約束したんだから、
泣かないの」


「じゃあ俺、泣かない!」



「立ち直り早いわね」



「やっぱり優真は
相変わらずだな」


「たしかにね」



「俺はゆりなと学科は
違えど大学一緒だし、
悲しくないぞ」



「昨日は
悲しいから毎日
会いたいって言ってたのに?」



「うっ。優真には
それ言うなよ」



「あ、ごめんごめん」



「まぁ、毎日会うなら許す」



「なんだかんだで
優真と久也くんは
似た者同士なのねぇ」



「大親友同士だからだよ、きっと。」




担任
「そろそろ入場だぞ~
ちゃんと並んだな?」




そして
卒業式が始まった…。



式が終わって
教室に戻った。





これから
担任から卒業証書が
一人一人に手渡される。



「証書を渡すんだけど、
受けとった後に
その場で親御さんや
クラスのみんなへ、
自分の将来の夢などなど
何か言ってください」




そして
卒業証書が
手渡されていった…。




私たち4人の中で
最初は…優真くん。



担任
「卒業おめでとう。」



「えー…クラスのみんな、
楽しかったっ。
ありがとうっ!

おじさん、おばさん、
俺を学校に通わせてくれて
ありがとうございました。
これからは新社会人として働き、
二人に恩返ししていきます。
えー…最後に、俺の夢は
大好きな人と
家族をつくって、
幸せに暮らすことです。
…以上です」



3人の中で
優真くんの次は…




担任
「後藤ゆりな。
卒業おめでとう。」

証書をもらった瞬間
一気に涙が溢れてきた。


「えーと…
担任の先生、
ありがとう…ございました。
クラスのみんな…
このクラスは最高でした。
楽しかったです。
…ありがとう。

お父さんお母さん…
無事に卒業できました。
ここまで私を育ててくれて…
ありがとうございました。


最後に…
私の夢は…
大好きな人と支えあって
生きていくことです」


泣きながらも
私は自分の言葉を
しっかりと伝えた。


お次は…




担任
「坂本久也。
卒業おめでとう。」




「えーと…
クラスのみんな、
ありがとう。
このクラスはすごい
楽しかったです。

高校に通わせてくれて
ありがとうございました。
両親には本当に感謝してます。
普段は恥ずかしくて
言えないけど…ありがとう。

最後に、
俺の夢は教師になることです。
そして、大事な約束を
果たしたいです。」



2人のうち、
次は…







担任
「佐田七海。
卒業おめでとう。」




「んーと…
先生、お世話になりました。
ありがとうございました。

クラスのみんな、
このクラスは
最高に楽しかったです。
ありがとうございました。


お父さんお母さん、
色々迷惑かけたりしたけど…
私を産んでくれてありがとう。
お父さんお母さん…
これからもまた
迷惑かけたりすると思うけど
よろしくお願いします。


最後に
私の夢は…
大好きな人と
家族をつくって…
いつも明るく元気な
大家族のお母さんに
なることです」








卒業の一切が終わった…。


帰り道。




「いやぁ、実に
素晴らしい卒業式だった。
特にクラスでの
一人一人のあれが
よかったな。」



「だよな。
あれはよかった」




「涙ぐんじゃって
なんだか恥ずかしかったけど」


「私はすぐ泣いちゃったし」


「俺、七海が
涙ぐんで、ちょっと驚いた。」


「わ、私だって
涙ぐむことくらいあるわよ。

ゆりなは
やっぱり泣いたものね」



「涙もろくて悪かったですね」



「感情表現するのは
悪いことじゃないんだから
気にすんな」


そういって
久也は私の頭をなでた。



「久也でも
そういうことするんだな」



「あ、いや、つい」



「俺たちがいたこと
忘れてたんだろ」



「うん」


「お前には
ゆりなちゃんしか
見えてないんだから」


「お前は、
七海ちゃんしか
見えてないだろ」


「どっちもどっちだよ」



「ほんと、困っちゃうわ」


私たち4人の夢は
それぞれ。


だけど
行き着く最後の考えは
同じだった。




七海達と別れた後は

私の家に
久也を招いた。



ガチャッ



「ただいまー」



「おかえり。
おばさんは
買い物に行ってるぞー…って」


「「何故ここに!?」」


龍平くんと
久也の言葉が同時だった。


「お母さんは買い物か。
きっと奮発して
買い物張り切ってるかも。
久也、私の部屋先行ってていいよ。
私、何か飲み物用意してくるから。」


「わ、わかった」



「いやいやいや。
俺、俺はっ?」



「そういえば…
今日なんで龍平くんが?」



「そうだそうだ」



「ひ、ひどいっ。
今日はゆりなの
卒業パーティーだからって
おばさんに
呼ばれたから来たんだぞ?」



「あ、そうだったの」


「そうだったの~
…じゃないってのっ!」



「ん、じゃあ、
ゆっくりしてって。
久也、いこっ?」



「おうっ。」



「えっ、いや、だからさ、
俺はお部屋に連れてって
くれないの?」



「え~…
久也、どうする?」



「んー…ゆりなの
家庭教師してたわけだし…
しょうがないな」



「ってことで、まあいいよ」



「ありがとー!
ちょっと複雑な気分だけど」


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