天使は金の瞳で毒を盛る

秘密の婚約者

光がキラキラ落ちていた。
私たちはクスクス笑いながら何かを話している。
手は繋がれていて、見上げるとそこには金の瞳の少年の優しい眼差しが…


「いい加減に起きたらどうですか、一花お嬢様」

一花はぼんやりと目をあけた。すっかり上った陽が暖かく部屋を満たしている。

上体を起こして伸びをする。何時かしら。お腹すいた‥

ボンヤリと思ったらお腹が鳴った。朝ごはん何かしら。

「寝坊したあげく、腹鳴らしてるなんて問題外ですね。さっさとおきなさい。皆が迷惑します」

横から聞こえてきた低めの甘い声に意識が止まる。でも、内容は甘くない、というか失礼…

次の瞬間、一花はベットの上で上布団を掴んで身構えた。

「なんであなたがここにいるの？！」

ベットの脇にソイツがいて、こちらを冷たい視線で見下ろしていた。

背が高くて細身の、でも決して華奢ではない体。柔らかい茶色がかった金の髪に、長い手足。少し神経質そうな綺麗な手。

その手が一花の頬を包み込んだ。

そして金色がかった瞳が一花をうつす。

「もう、忘れたんですか？私があなたの婚約者だからですよ。
良い天気だからどこかにと思ってきたら、まだ寝ているので起こして差し上げたんです」

言葉は丁寧だが表情は笑っていない。だが、一花はふれられて、心臓がはねた。それを隠そうと手をはらいのける。声が上ずる。

「何言ってるの！くだらないこと言ってないでよ。第一、女の子の部屋に無断で入ってくるなんて！何考えてるの!」

「無断ではありません。社長の許可を得ています。」

「は？」

「あなた父親の許可はでています。もちろん今日お嬢様のお相手をすることも了承されています。」

お父様！娘の気持ち確認して！

まるでその言葉を読んだようにソイツは言った。

「あの人の言葉は絶対でしょう。そもそも女の子って年ではないですし。さっさと起きなさい、脳みそ腐りますよ」

…あんたなんて大っ嫌いよ！四条榛瑠！