天使は金の瞳で毒を盛る
人も増えてきたし、そこまで話したところで私は出てきたコーヒーを手にデスクに向かった。

まだ、始業までには一応時間もある。一息つくと、熱いコーヒーを口にする。

コーヒーの香りに包まれながら、重い頭を抱えてぼんやりする。

それにしても、群城先輩達も大変だ。若くして責任ある地位につくという、華やかさとは別の側面をつい考えてしまう。

ま、優秀だったらしいし、なんとかするんだろうけどね。

あの学園の人はよくも悪くもそういう人たちばっかりで、みんな自信に満ちてて優秀で。

…なんか、思い出したら落ち込みそう。

流石に群城家の例は特別というか、そこまで早くトップに上り詰める人はいないが、それでもそれなりの仕事をして世間で名を聞く人達が多い。

きっと今回、学園の卒業生で出席する人も多いだろう。そんな中に入って話をするのは考えただけで気が重い。私なんて在学中から取り柄なかったし今更いいけど。

榛瑠がちょうどデスクに着こうとしているのが目に入った。

パーティー、嫌そうだったな。彼も災難だなあ、お父様も大概にすればいいのに。

私は飲み終わった紙コップを捨てるために席を立って廊下に出た。

でも、群城家の双子は中等部でも有名だったけど、榛瑠のほうが有名度では高かった気がする。

外見が目をひくということもあるけど、いくら我が家の庇護を受けているとはいえ、名家の出でもなく、おまけに転入生が生徒会長になるということが考えられない学校だったから。

でも彼はやすやすとにこやかに、と言われていたけど私に言わせてみれば薄ら笑いを浮かべて、その座に座った。

他の生徒会のメンバーも目立つ人が多く、その回の生徒会は最強だのなんだの、尾ひれもつきながら話題が絶えなかった。

そこの中心に彼は薄ら笑いを浮かべて権力を行使してたなあ。少なくとも、中等部に入ってくる話はそんな感じで。
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