天使は金の瞳で毒を盛る
30分後には部署内が騒然としていた。
今日着のはずの船が一隻入ってこないまま、行方不明になっていた。先ほどの内線は発注かけた部署からの確認だったらしい。
それだけ、重要な荷だってことでもある。
「どうなるのかな、部長も課長もいないのに。」
篠山さんが不安そうな声を出す。うん、と私はいいつつ、遠巻きに見ていることしかできない。
林さんも黙ったまま立っていた。
「そもそもこれ、誰が処理したの?」
ベテランの女性社員の声が聞こえてくる。誰がが書類をめくる音がする。
その時、部署の部屋のドアが開いて、スーツケースを引く音がした。同時に落ち着いた声がする。
「ただいま戻りました。」
私は反射的にドアの方を振り返った。榛瑠だ。帰って来た。予定より早い。
「…どうしたんですか?何かありましたか?」
四条課長は荷物を置くのもそこそこに事情を聞く。何枚か書類をめくった後、佐藤さんの席まで行ってパソコンの画面を見ると、そこから国際電話をかけ出した。
みんなの視線が課長に集まっている時、乱暴な音を立てて、再びドアが開いた。
「おい、荷物が入ってないってどういうことだよ!」
背の高い体格のいい男性が大きな声で言いながら入ってくる。
第二営業部の鬼塚係長だ。…そうか、どっかで聞いた船名な気がしたけど、これ、鬼塚さんとこの荷だ。
そして、うわっと思う。鬼塚さんは、確か28歳くらいなんだけど、第二営業のエースで、イケメンで、声大きくて、仕事には厳しくて、しょっちゅう怒ってて…。
裏で「第二の鬼」って言われている人だ。
今日着のはずの船が一隻入ってこないまま、行方不明になっていた。先ほどの内線は発注かけた部署からの確認だったらしい。
それだけ、重要な荷だってことでもある。
「どうなるのかな、部長も課長もいないのに。」
篠山さんが不安そうな声を出す。うん、と私はいいつつ、遠巻きに見ていることしかできない。
林さんも黙ったまま立っていた。
「そもそもこれ、誰が処理したの?」
ベテランの女性社員の声が聞こえてくる。誰がが書類をめくる音がする。
その時、部署の部屋のドアが開いて、スーツケースを引く音がした。同時に落ち着いた声がする。
「ただいま戻りました。」
私は反射的にドアの方を振り返った。榛瑠だ。帰って来た。予定より早い。
「…どうしたんですか?何かありましたか?」
四条課長は荷物を置くのもそこそこに事情を聞く。何枚か書類をめくった後、佐藤さんの席まで行ってパソコンの画面を見ると、そこから国際電話をかけ出した。
みんなの視線が課長に集まっている時、乱暴な音を立てて、再びドアが開いた。
「おい、荷物が入ってないってどういうことだよ!」
背の高い体格のいい男性が大きな声で言いながら入ってくる。
第二営業部の鬼塚係長だ。…そうか、どっかで聞いた船名な気がしたけど、これ、鬼塚さんとこの荷だ。
そして、うわっと思う。鬼塚さんは、確か28歳くらいなんだけど、第二営業のエースで、イケメンで、声大きくて、仕事には厳しくて、しょっちゅう怒ってて…。
裏で「第二の鬼」って言われている人だ。